白内障手術は、実は多くの方が一生に一度は受ける可能性のある治療です。この記事では、白内障手術の費用の仕組みや負担を軽減する制度、高額療養費制度や医療費控除について詳しく解説します。適切な情報を得て、白内障手術を受ける際の参考にしてください。
下記のYouTube動画では、年間3万人以上を診察する眼科専門医の上月が対談形式で、わかりやすく説明しています。治療に対する理解を深めるために、ぜひ合わせてご覧ください。
白内障手術の種類と費用の違い
白内障手術には、主に以下の3つのパターンがあります。
- 単焦点眼内レンズを用いた保険診療
- 多焦点眼内レンズ(選定療養)を用いた手術
- 多焦点眼内レンズ(自費診療)を用いた手術
それぞれの金額を確認していきます。
1. 単焦点眼内レンズを用いた保険診療
単焦点眼内レンズは基本的に健康保険の適用範囲内です。
- 1割負担 → 片目 約15,000円 / 両目 約30,000円
- 2割負担 → 片目 約30,000円 / 両目 約60,000円
- 3割負担 → 片目 約45,000円 / 両目 約90,000円
ただし、高額療養費制度を利用すれば、実際に支払う金額はこれより少なくなる可能性があります。
たとえば、70歳以上で1割負担の方は月の医療費の限度額が8,000円ですので、1ヵ月の間に両眼の白内障手術どちらも終えられた場合、8,000円で済みます。詳しくはあとで解説します。
2. 多焦点眼内レンズ(選定療養)を用いた手術
多焦点眼内レンズは、遠近両方が見えるメリットがあります。選定療養では手術費用は保険適用されますが、レンズ代は自己負担となります。
例)
- 手術代 90,000円(3割負担)
- レンズ代 300,000円(自費)
- 合計 約39万円(医療費控除の対象)
3. 多焦点眼内レンズ(自費診療)を用いた手術
完全自費診療の場合、手術費用も全額自己負担となります。
- 片目 50万~100万円
- 両目 100万~200万円
この場合、高額療養費制度の適用はなく、医療費控除のみ利用可能です。
高額療養費制度の活用
高額療養費制度とは?
一定額以上の医療費を支払った場合、それ以上の負担が軽減される制度です。
70歳以上と70歳未満では負担額の上限が異なります。(2025年2月現在)
70歳以上の方の場合
収入によって異なりますが、一般的には以下のようになります。
- 1割負担の方 → 8,000円/月が上限
- 2割負担の方 → 18,000円/月が上限
- 3割負担の方 → 81,000円+αが上限
ポイントは、同じ月に両目の手術を受けると上限額を超えずに済むことです。月をまたいで手術を行うと、それぞれの月で上限額が適用されるため、合計の負担額が増えてしまいます。
70歳未満の方の場合
70歳未満の方も高額療養費制度を利用できますが、上限額が高めに設定されています。
- 年収370万~770万円の方 → 90,000円が上限
- 年収770万円以上の方 → 252,600円+αが上限
70歳未満の方も、両目同じ月に手術を受けることで費用を抑えることが可能です。
高額療養費制度の申請方法
高額療養費制度を受けるには、初回の申請が必要です。
すでに申請をされたことがある方は「限度額認定証」や「限度額適用・標準負担額減額認定証」を窓口に提示していただくことで、窓口での負担額が限度額までになります。
申請をされたことがない方も、窓口で支払い後に高額療養費制度の申請を行うことで、限度額を超えて支払った分が返金されます。
なお、高額療養費が支給される場合は、事前に申請をしなくても、診療月から最短で3ヵ月〜4か月後に広域連合から申請書を送付されます。詳しくはお住まいの役所のwebサイトをご確認ください。
世田谷区の「高額療養費制度の支給」に関しては以下のリンクをご確認ください。

医療費控除を活用する
医療費控除とは?
1年間で支払った医療費の合計が10万円を超えた場合、確定申告をすることで税金の一部が戻ってきたり、翌年の税金が安くなったりする制度です。
適用される主な費用
- 白内障手術の費用(自費部分含む)
- 通院にかかった交通費(公共交通機関)
- 処方された薬代
多焦点眼内レンズのレンズ代も医療費控除の対象になるため、手術費用を大幅に軽減できます。
どのくらい戻ってくるの?
例えば、
- 手術費用 90,000円(保険適用)
- レンズ代 600,000円(自費)
- 合計 690,000円 → 医療費控除の対象
所得税率10%の場合、約6万~8万円の還付が受けられます。
民間保険を利用する方法
民間の医療保険に加入している場合、白内障手術費用が保険の給付対象となることがあります。
注意点:両目を同日に手術すると給付金が減る可能性あり
多くの保険会社では、白内障手術を「1回の手術」とみなします。そのため、両目を同じ日に手術すると1回分の給付しか受けられません。
→ 両目を別日に手術することで、2回分の給付金を受け取れる可能性があります。
まとめ!白内障手術で損をしないためのポイント
1. 高額療養費制度を活用する
- 70歳以上の方は同じ月に両目の手術を受けると最小限の負担で済む
- 70歳未満の方も、収入に応じた上限額を確認しておく
2. 医療費控除を活用する
- 多焦点眼内レンズのレンズ代も控除の対象
- 確定申告を忘れずに行い、税金を取り戻す
3. 民間保険を確認する
- 事前に保険会社に確認し、給付金を最大限に活用
- 両目を別日に手術すると給付額が増える可能性あり
白内障手術は、正しい知識を持つことで負担を最小限に抑えられます。
当院では、患者様の一人ひとりの生活に合った眼内レンズや手術スケジュールなどを提案し、費用負担の軽減方法についてもご案内しております。
白内障手術を行う場合、通常の単焦点レンズの他に、多焦点眼内レンズを選ぶことが可能です。多焦点眼内レンズは、老眼も一緒に治せるレンズになります。どんな方に多焦点眼内レンズが向いていて、どんな方に向いていないのか以下の記事で紹介しています。
白内障手術のレンズ選びで何より重要なのは、手術後の生活の質の向上であり、患者さん自身の満足度です。そのため、眼科医としっかり相談し、ご自身の生活スタイルに合った眼内レンズを決定することをおすすめします。
ご自身が「信頼できる!」と感じたクリニックでカウンセリングを受けることが重要ですので、レンズ選択で迷われている方や白内障手術を検討されている方は信頼できる医師のもとでいろいろと相談をされてみて下さい。
「どういったクリニック・病院で白内障手術の相談をすればよいのか?」「どういった眼科医が名医と呼ばれるのか?」という点については、以下の記事で詳しく書かせて頂いておりますので、気になる方は合わせてご覧ください。
医療法人社団慶月会では、患者さんに寄り添い、生活スタイルを詳しくお伺いした上で、より適切な眼内レンズをご提案させて頂いています。
また、実際の手術は白内障手術はもちろんのこと、硝子体手術という難しい手術を専門で行っている医師が行います。
当法人は経堂こうづき眼科と王子さくら眼科、2院展開しておりますので、ご来院しやすい方にお越しください。
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